チェコSUPRAPHON　ゲオルギュー(pf)　ジョルジェスク指揮　リスト：ピアノ協奏曲、巡礼の年ほか　チェコ録音

・第一面・・・ピアノ協奏曲。

・第二面・・・パガニーニによる大練習曲：狩り、主題と変奏、オクターブ、巡礼の年：物思いに沈む人、ペトラルカのソネット104番。

ゲオルギューは1928年生まれのルーマニアを代表する名手。パリ音楽院でレヴィに学んでいます。指揮者のジョルジェスクは1887年生まれのルーマニアの大御所で、留学時代ニキシュの助手も努めたといいます。本盤はピアニストと指揮者がルーマニアから客演という珍しい録音。どういう機会になされたのか分かりませんが、心から望んで、というものでもなかったのかもしれません。というのも両面とも最初の方はイマイチ本調子ではなさそうなのです。ピアノ協奏曲、第一楽章から繊細な美質はあるのですがどこか煮え切らない。しかし第二楽章から変わります。穏やかな流れのなかに強い情熱を忍ばせて、ピアンもオケもその響きのなかにしっかりと音楽が包まれています。第三楽章は十分にウェイトの乗った音楽になっていて、化学反応が起きた感じですね。お見事。裏面はゲオルギューのソロですが、これも最初は上品ながら心にはあまり響いてきませんでした。しかし巡礼の年、「物思いに沈む人」からガラリと変わります。表面を飾るなんてとんでもない。心の底からの暗さがやってきます。こんな陰鬱な音楽を、ゲオルギューはできる人だったのか。この演奏旅行自体なにか嫌なものがあり、その本心が表現されたのではないかと穿ってしまうほどに真に迫っています。「ソネット104番」も押し殺したように響かせる音に心が反応します。自分の間合いで、自分の音楽にしている。抑制の効いたピアニストの肚のなかで渦巻くものがあって、そういう土台からキラキラした詩が生まれています。ちょっと普段見せない顔が見れるチェコ録音なのです。

盤質：両面とも基本きれいで溝状態も良いですが、第二面に浅傷少しあり主に「オクターブ」でティック少々。本盤の聞き所はそこではないので大丈夫でしょう。第一面(ピアノ協奏曲)：ほとんど美品、第二面(ソロ)：きわめて良好～良好。

ジャケ：無地ジャケ。

【盤質評価】全面視聴してから出品しています。区分は以下のものを採用しておりますが、必要に応じて詳しく説明するようにしています。

美品(Ｍ)：新品並みの状態。

ほとんど美品(ＮＭ)：極浅い擦れや軽微な傷。

きわめて良好(ＥＸ)：年相応の擦れや浅傷。ひどいものはなし。

良好(ＶＧ)：擦れや傷などが目立つ。＊音溝が活きてなければ出しません。

■丁寧に梱包して送ります。またトラブルなどには誠実に対処いたしますのでよろしくお願いいたします。