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★名著「ジャズレコード・ブック」粟村政昭著です。 |
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商品説明粟村政昭氏は、60年代から80年代初期にかけてジャズファンに圧倒的に支持されたジャズ評論家です。この本は65年から2年半にわたってスイングジャーナル誌に連載された記事をまとめたものです。私はこの本には徹底的に影響されました。私が知る限り日本人が著したジャズ本の中では最高の名著だと信じています。 本の外側は経年の焼けやシミが目立ちますが、読む分には問題はないと思います。無線とじではなく糸綴じで丁寧に製本されていますのでページの外れなどはありません。 85年のジャズ批評誌・№49は「ジャズの本」特集となってますが、青木和富さんと小野好恵さんの対談でジャズレコードブックのことが語られてます。 〝粟村史観”の影響力 ――一方に、粟村政昭さんのように、ジャズは『ビッチェズ・ブリュー』まで、みたいな立場を貫いてきている方もいるけれど、フィールドから出て行くのではなしに。 小野 粟村さんの場合は外の文化状況とつながっている感じはしないよね。完全に趣味の世界に没頭して、その中でのディレッタントの凄みみたいなので勝負してくるから。『ジャズ・レコード・ブック』なんて確かに面白いんだけれど、状況の中で、人間はいろんな形で引き裂かれて生きているわけだからさ ――ジャズに接した時代のギャップということはあるでしょうね。 小野 ジャズ史から言っても、60年代はジャズを趣味の領域に封じ込められなくなった時代でしょ。でも、そんな時にジャズを聴き始めても、やっぱりジャズに関する知識を漁りたいということはあるから、そういう入門書としては『ジャズ・レコード・ブック』は面白いけどさ。 青木 すごく小さい世界だと思ってた。けれどディレッタントの閉じ込められた世界として、すごく線の通った本なんだ。 小野 小林秀雄がボードレールの『悪の華』を球形にたとえたけど、そういうふうに閉じ込められた美学として語った本という気がした。 青木 そう、そしてそれにだんだん気づいて行くと、あの本の一字一句がものすごく響いてくるんだよね。何回も読み直してナルホドと思ったりする。最終的にあれは日本のジャズの聴き方を作った本だと思ってる。非常に小さい本だけれどね。 ――プロの書き手の中に影響を受けている人も多いのでは? 青木 いまだにあの世界から飛び出せない人もね(笑)。ハンク・モブレーやリー・モーガンを外した一方でタル・ファーロウをリスト・アップしたりね、そういう意味でもすごく影響力のあった本だと思う。とにかくモダンもクラシックもなくアルファベット順にミュージシャンを並べて、その代表作を論じているというだけの本なんだけれど、そこに一本筋の通った美意識が強烈なんだ。それを考えると、あの本が版を重ねる毎にジョン・ハンディが抜けたりとか、ミュージシャンの出入りがあるのが愉快だね(笑)。 小野 あれこそ“ジャズ鑑賞道”の本なのだ。すべてを純美学的な部分でポンポンと規定して行くでしょう。ちょうどクラシック鑑賞家のスタイルなんだな。そこには世代的なものもあるだろうし、住んでいる関西という土地柄のこともあるかも知れない。東京みたいに目まぐるしく情報の集中するところでは物事が相対化されるから、結局自分の趣味だけというわけにはいかない。けれど彼の場合には逆にそれが強みになっていると思う。とにかく僕らの世代はああいう趣味道に徹することはうらやましいけど、できないな。 ――世代ということで言うなら、粟村さんも相倉さんも同じような世代ではあるでしょう。 小野 そう、相倉の『モダン・ジャズ鑑賞』にしても小林秀雄の『モオツアルト』のスタイルでやっているわけだから、その意味では同じ。片や社会派、一方は完全に私小説派というニュアンスの違いでしょう。要は両方ともヨーロッパ的知性主義の臭いがする。どちらも教養としてジャズをとらえている感じがするのね。で、平岡正明になるとぜんぜん違う気がするけど。 ――すると小野さんがジャズに求めていたものは? 小野 あの激動の時代にハタチ前のガキが感じることと、すでに確立した戦中派の教養人の感じることはぜんぜん違うと思う。マネしたくても、こちらは教養人になれないしね。もっとアナーキイな心情でジャズを追っかけていたからね。ただ『ジャズ・レコード・ブック』には〝粟村史観”みたいな手応えは感じたよ。 青木 レコード聴いて『ジャズ・レコード・ブック』読んでいれば自然とジャズの歴史がわかってきちゃうよね。最後の方に「150枚の基本的ライブラリー」というのが載っているんだけれど、すごい強力なものなんだ。おざなりの選択にとどまっていない。何か独善の素晴らしさみたいなものがあって、やっぱり愛すべき本だな。 |
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