すわ逸平「源左・才市・みすゞ-妙好人紀行」

  →２０２２年 浅沼義則著「妙好人紀行---源左・才市・仲造・善太郎・道宗・みすゞ」に収載。１９２頁、新刊。アマゾンで２６４０円。

    第一章 源左・才市・みすゞ  第二章 足利源左―山根の里  第三章 浅原才市―温泉津  第四章 小川仲造、有福の善太郎―江津  第五章 赤尾の道宗と井波瑞泉寺  第六章 妙好人素描  第七章 妙好人を紹介した人たち(鈴木大拙、柳宗悦、神谷美恵子)  第八章 金子みすゞ―仙崎  第九章 妙好人の魅力    山陰への紀行をもとに、妙好人の双璧といわれる足利源左と浅原才市、それに大和の清九郎、物種吉兵衛、讃岐の庄松、小川仲造、有福の善太郎、市川親子、赤尾の道宗など印象深い妙好人を紹介し、そして妙好人と通底する機微をもつ薄幸の詩人金子みすゞについて語る。  妙好人の生き方は、いわゆる日本人らしいやさしさ、思いやり、憐れみ深さに満ちている。そのやさしさは、他人への思いやり（源左）、味わい深い詩（才市）、生への慈しみ（みすゞ）となって表われる。  源左と才市は、信心に徹し、凡夫に徹し、生業に励み、そして貧しい中に豊かな人間性を保ち、なんとも美しい、ほのぼのしたやさしさをもち、そうした仏教的生き方を終生貫いた稀有の妙好人である。  三人を知るにつけて、日本人らしいしっとりした情性を感じ、人はここまでやさしくなれるのかと心温まる思いがする。そして殺伐、混沌とした現代に生きる私たちに、三人の生き方は大いなる潤いを与えるに違いない。    著者は、妙好人の信心物語に感心したというより、彼らが全身全霊で教えを受けとめ、その結果、生業はもとより、日常生活の諸事全般にわたり、まことに美しい、ほのぼのとした心情を披瀝する、そのことにまず胸を打たれたという。信心の結果現れる彼らの姿に感動を覚えたのだ。  山陰のひなびた村と町に、こんなにも個性豊かな、ひたむきな生を貫いた美しい日本人が、昭和の時代まで存在していた、その驚きと感動を、紀行文とともに本書に込める。  新品です。