露MELODIYA　フレミー(pf)　シューマン：ダヴィッド同盟舞曲集　鬼才による名演

露MELODIYA D4872-3  フレミー(pf)の演奏で、シューマン：ダヴィッド同盟舞曲集。10インチ・フラット・オリジナル。

ジェラール・フレミーは1935年生まれの仏蘭西の名手。パリ音楽院でイヴ・ナットに師事し、16歳で首席となった後ロシアに留学。そこでネイガウスに師事します。フレミーのことはジョン・ケージのプリペイド・ピアノの決定的な名演でご存知の方もいるかと思いますが、この人のピアノの技量は大変なものなのです。そのフレミーの、なんとロシア録音があるとは。MELODIYAにはバッハとブラームスの入った12インチと当盤の計二枚の録音を残していますが、いずれも素晴らしいのです。演奏家でも、自身作曲を行う人や、最先端の新しい音楽に積極的に取り組んでいる人の演奏には特有の強い音楽性がありますが、フレミーもそうですね。このシューマンの1曲目、強く美しく、そして肌触りが実に妖しい。内部の激しい嵐を内包しつつ流れるロマンの美しさ。2曲目、なんて詩的にうつろう眼差し、その行く当てのない悲しさ。鳥肌が立ちました。4曲目は涙が出そうなほどに痛切なパッションが凄いですし、5曲目のシューマンらしい静かな夢も美しい。7曲目の孤独なアルベジオ、その淋しき姿は忘れられません。11曲目、強さと優しさ、それを二重唱のように美しく描き分ける技量には唸らされますし、12曲目の全身筋肉のような跳躍姿には目を奪われる。13曲目の叩きつけるようなドラマとコラール。14曲目は星光のような澄んだ冷たさの右手と、微睡みと濁り豊かな左手の海。15曲目の無数の音符が作る流れの強度。17曲目は2曲目の旋律を使っていますが、今度はうつろうというよりも響きが増えて共鳴し、辺りを静かに包み込んでいく。最後18曲目は静かに語る。ゼンマイが緩み切る前のオルゴールのように、終わりが近づいてくる。その余韻を宿してゆっくりと止まっていく。強靭な技量を持ち、その余裕で持って音楽をしっかり解釈して再構築していく。フレミーの素晴らしいシューマン、是非お聴き下さい。

盤質：盤面浅擦れ少しくらいでピカピカ。きれいです。このモスクワ初版はどうしてもフォルテでややチリつきますが派手な音割れまではいかないので許容範囲内かと思います。そのぶん音が鮮烈なのが魅力です。通常のMONO針(0.7mil)の方が先鋭的なフレミーを味わえますが、太針(1mil)の方が安定感あり、迷うところですね。ほとんど美品～きわめて良好。

ジャケ：共通ジャケ。

【盤質評価】全面視聴してから出品しています。区分は以下のものを採用しておりますが、必要に応じて詳しく説明するようにしています。

美品(Ｍ)：新品並みの状態。

ほとんど美品(ＮＭ)：極浅い擦れや軽微な傷。

きわめて良好(ＥＸ)：年相応の擦れや浅傷。ひどいものはなし。

良好(ＶＧ)：擦れや傷などが目立つ。＊音溝が活きてなければ出しません。

■丁寧に梱包して送ります。またトラブルなどには誠実に対処いたしますのでよろしくお願いいたします。