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「リンカーン弁護士」上下2巻 ◆マイクル・コナリー(講談社文庫) |
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★内容: コナリーの最高傑作との呼び声が高い作品。ミッキー・ハラーは、高級車の後部座席を事務所代わりにロサンジェルスを駆け巡り、刑事事件の犯人側に立って細かく報酬を稼ぐ「ちょい悪」弁護士。収入は苦しく誇れる地位もない。そんな彼に暴行容疑で逮捕された資産家の息子から弁護依頼が舞い込んだ。久々の儲け話に意気込むハラーだが・・・。事件を調べるハラーは、かつて弁護を手がけたある裁伴へと辿りつく。もしかしたら自分は無実の人間を重罰に追いやってしまったのではないか。思い悩む彼の周囲に、さらに恐るべき魔手が迫る。絶体絶命の状況下で法廷に挑む彼に果たして勝算はあるか。コナリーが新境地を拓く、迫真のリーガル・サスペンス。
本作は、監督ブラッド・ファーマン、主演マシュー・マコノヒーで映画化され(ライオンズゲート配給)好評を博した。「主演のマコノヒーの演技がじつにいい。清濁併せのむ、ちょいワル弁護士をクールに演じている。今後このシリーズを読む際には、この映画でのマコノヒーの姿が自然に浮かんでしまうだろう。原作ファンもマコノヒー・ファンも、そうではない映画ファンも、充分楽しめる作品に仕上がっていると保証する」(訳者: 古沢嘉通)
★本作は、マイクル・コナリーによる、LAPD(ロサンゼルス市警察)刑事ハリー・ボッシュを主人公とするハードボイルド・ミステリー、『ハリー・ボッシュ・シリーズ』のいわば外伝である。このシリーズにおいては、主人公ハリー・ボッシュ以外の登場人物 ― 読者なら既にご存知であろうが、捜査官レイチェル・ウォリング、元捜査官テリー・マッケイレブ、記者ジャック・マカヴォイ、アウトサイダーのキャシー・ブラック、弁護士ミッキー・ハラーなど ― がいわゆる「スピン・オフ」し、ハリー・ボッシュ・シリーズ以外の独自作品群の主人公となって、コナリーの世界を拡大・深化させていく。これらの関連シリーズを合わせると、2022年夏時点で37作(内、邦訳37作)が執筆されている。コナリー・ファンをやめられない理由がここにもある。
★本家シリーズの主人公ハリー・ボッシュは、本名がヒエロニムス・ボッシュ(Hieronymus Bosch、ルネサンス期フランドルの著名な画家と同姓同名)。暗く複雑な生い立ちと、ベトナム戦争で極限状態を生き抜いた経験が性格に陰を落とす。組織に馴染まず上司や同僚と衝突することもしばしばだが、一人事件の真相へ向けて突っ走る男の中の男。シリーズ初期では、犯罪事件のストーリーと並行して主人公のトラウマや人間性も次第に浮彫りになっていく。マンネリと無縁の物語が次々に展開し、読者はボッシュとともに現代を疾走する気分や錯覚に酔う。。だが、逆境と戦うボッシュにもLA市街を見下ろす小粋な自宅に帰宅し、好きなCDを聞きながらデッキでビールを飲み、遠くで暮らす“家族”を想うひと時が訪れる。読者もその場所と時間に居合わせて、ほろ苦くも甘美な癒しを味わうのである。
★著者、マイクル・コナリー(Michael Connelly)は、1956年生まれ、フィラデルフィア出身。1980年、フロリダ大学でジャ-ナリズムを専攻したが、そのきっかけは在学中にレイモンド・チャンドラーの小説に出会い作家となる決意をしたためという。卒業後、フロリダで新聞記者となり、当時「コカイン戦争」の只中にあった南フロリダ地区の犯罪や警察について記事を書き続け、1986年には手がけた記事がピューリツァー賞候補に推されることに。これによりジャーナリストとしての地位を高め、ロサンゼルス・タイムス社の犯罪担当記者となり、チャンドラーが描いた街LAに赴くこととなった。LAで3年間の記者経験の後、ロサンゼルス市警察(LAPD)の刑事ヒエロニムス(ハリー)・ボッシュを主人公とした小説を書き始める。 1992年、シリーズ第1作となる“The Black Echo”(邦題『ナイトホークス』)を発表。実際に起きた事件を題材として描いた本作は、初版僅か15,000部、また全米広告の露出がなかったにも拘らず各書評で非常に高い評価を得、アメリカ探偵作家クラブ(Mystery Writers of America、MWA)のエドガー賞(The Edgar Award)処女長編賞を獲得した。その後同シリーズは怒涛のヒットを続け、現在までに35ケ国で翻訳されている。2003-04年にはMWAの会長も務めた。
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